受水タンク・高置タンクの算定方法|設備設計で失敗しない基本ポイント
建物の給水設備設計において、受水タンクや高置タンクは欠かせない設備です。しかし、これらタンクの容量設計を誤ると、給水不足やコスト増などのトラブルにつながります。本記事では、受水タンク・高置タンクの基本的な役割と容量算定方法を、設備設計初心者にもわかりやすく解説します。
受水タンクとは?

受水タンクは、水道本管から供給された水を一時的に貯水する設備です。主に地下や1階部分に設置され、建物全体への安定給水を確保する役割を担います。
主な役割
安定した給水供給の確保
水道本管の断水・圧力低下への備え
給水ポンプの効率的運転(頻繁なON/OFFを防ぐ)
受水タンクの容量算定方法
基本計算式
Vs ≧ Qd − Qs × T かつ Vs ≦ Qs × (24 − T)
各項目の説明:
Vs:受水タンクの有効容量 (m³)
Qd:1日最大予想給水量 (m³/day)
Qs:水源からの給水能力 (m³/h)
T :使用時間帯の継続時間 (h)Vs ≧ Qd − Qs × T かつ Vs ≦ Qs × (24 − T)
設計例
例)オフィスビル、1日最大給水量:120m³、水道給水能力:6m³/h、使用時間帯:10時間
Vs ≧ 120 − 6×10 = 60 m³
よって、60m³以上の受水タンクを設計します。
注意点
ポンプ運転回数の最適化
断水リスクへの配慮
清掃・保守用の水量も考慮
高置タンクとは
高置タンクは、屋上や高層階に設置し、重力を利用して各階に給水するためのタンクです。揚水ポンプから送水した水を一時的に貯水し、建物内の安定した水圧を確保します。
主な役割
給水圧力の安定化
給水の緊急バックアップ
揚水ポンプの故障時にも一時給水を継続
高置タンクの容量算定方法
基本計算式
Ve = (Qp − Qpu) × T1 + Qpu × T2
各項目の説明:
Ve :高置タンクの有効容量 (L)
Qp :ピーク時の予想給水量 (L/min)
Qpu:揚水ポンプの揚水量 (L/min)
T1 :ピーク時給水継続時間 (min)
T2 :ポンプ最短運転時間 (min)
設計例
例)マンション、Qp=400L/min、Qpu=300L/min、T1=20分、T2=10分
Ve = (400−300)×20 + 300×10 = 2,000 + 3,000 = 5,000L
よって、5,000L以上の高置タンクを設計します。
注意点
ポンプの故障リスク考慮
メンテナンススペースの確保
屋上の構造安全性
設計時のよくある失敗
過大設計による建築コスト増加
タンク容量不足による給水トラブル
設計図面に容量情報未記載
タンク清掃や維持管理計画を考慮していない
最後に
弊社は日本の設備設計に精通したベトナム人スタッフが在籍し、設計意図を理解した上で図面制作を行っております。専門スタッフによる丁寧なサポートで、日本国内のお客様にも安心してご依頼いただけます。